2018年10月23日掲載
組紐は、今も伝統の組物としてその技法と形を引き継いでいます。
有職組紐道明の組紐
 組紐(くみひも)は、5世紀頃の仏教の伝来とともに仏具や経具の飾り紐として日本に渡来して以来、日本の伝統の工芸品として独自の発展を遂げてきました。奈良時代の仏具や礼服、鎌倉時代には武士の甲冑や刀剣に、そして安土桃山時代には茶の嗜み(たしなみ)と共にその形や技法は深みを増してきました。そして、江戸時代中期の町人階級までも拡がった茶の湯や女性の帯締めや羽織紐、信玄袋などの袋物にも重用されてきました。組紐は、これらの文化との発展と共に、今日まで粋(いき)や伊達(だて)を象徴するものとして用いられてきました。
 

 
 組紐は、撚り(より)をかけた絹糸を材料として組み上げられています。組紐の多くは、角台、丸台、高台、綾竹台などの組み台を用いた手作業で組まれていますが、クテ打ち組紐などの自らの指を使って組み上げる組紐の原理や原初とも言える技法もあります。正倉院や法隆寺には、奈良時代に製作されたと思われる奈良組、笹浪組(ささなみぐみ)、唐組(からくみ)、安田組(あんだぐみ)等が残っています。一本の帯締の製作におおよそ2日を要し、複雑な組み方であれば、3日から5日を要し、さらに古来の組紐の再現では、1週間から数ヶ月も要するものもあります。(写真は、笹波組の製品)
 

丸台を用いた組み、絹糸18本を束ねたをひとつの玉として52玉を用いると900本ものの量となります。丸台でも、唐組等の組み方では平たく菱形が連続した柄が組み上がります。

丸台では、円形に糸を配して組み上げます。

 

高台による組み、唯一ネクタイ等の幅が異なるもの以外は、一般には組み方や本数を変える事がないため、同じ幅の組紐が組み上がります。完成した組紐の1.6倍の材料が必要となり、色の並びは組み上がると、60%程度の長さになります。高台は、江戸時代に登場しているが、その以前の鎌倉、室町時代に至っては、どのように組まれていたのかは、文献も少なく、定かには分かりません。

綾(あや)書きと呼ばれる高台による組み方の手順書


 
 伝統的な組紐の柄には、亀甲組、鎌倉組、厳島神社に奉納されていた「平家納経」経巻に用いられていた厳島組(いつくしまぐみ)と呼ばれる複合組、唐組(からくみ)、冠組(かんむりくみ)、奈良組、御岳組(みたけくみ)、高麗組(こうらいくみ)等の多様な柄があり、組み方も代表的なもので20通り程もあり、これらから亜流や派生した組み方も含めると、何百通りにもなります。最も複雑な両面亀甲組では144玉もの量が必要で、一般的な組紐の三倍にもなります。(写真左側が亀甲組、右手前が鎌倉組) 

 

有職組紐道明本社

 

 
台東区には、江戸文化発祥の町として数多くの伝統工芸が根付き、発展してきました。組紐は、そのひとつとして伝統を引き継いで今日に至っています。有職組紐道明(株式会社道明)は、承応元年(1652)に創業した、まさに江戸を代表する組紐工房です。その時代毎の要請に応えた組紐の技法は、日本の細緻な工芸品のひとつとも言えます。
有職組紐道明では、古来の組紐の伝承と復興と共に現代にも通じる新たな組紐作品を生み出しています。また道明組紐教室(道明古式糸組法教處)を開催し、伝統技法の伝承と共に技術者養成にも努めています。(台東区上野2丁目11番1号)

 
 
 

再現された法隆寺の唐組による幡垂飾(有職道明ホームページより)